落石の発生には、「素因」と「誘因」の両方が深く関与します。
「素因」とは斜面が持つ固有の性質である地形と地質を指し、また斜面の勾配・形状と地表面の状態は落石の運動を支配します。
「誘因」とは落石発生の直接の原因である降雨・積雪・凍結融解・風・強風・地震・植生などの自然現象や人為的誘導などが挙げられます。
わが国の道路建設状況をみますと、国土の7割が山岳地であり、落石が非常に発生しやすい地理的特性と言えます。施設に重大な損傷を与え、人を死に至らしめることもある落石を防止することは、防災上非常に重要な課題です。
しかしながら、落石発生については様々な原因が考えられるだけでなく、いくつかの素因や誘因が重なって起こる場合も少なくありません。
基本的に、「落石の規模や発生確率」や「被災の頻度や被害の程度」などを総合的に勘案し、被害を最小限に食い止めるべく、適切な対策を講じなければいけません。
分類 | 工法 | 目的・効果 | |
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落石予防工 |
除去 | 切土 | 個々の浮石や転石を除去する |
小割りなどの除去 | |||
固定 | 根固め | 個々の浮石や転石を固定する | |
岩盤接着 | |||
ワイヤロープ掛け | |||
ロープ伏せ工 | 面的に浮石や転石を固定する | ||
密着型安定ネット工 | 面的に浮石や転石を固定し、緑化促進効果も期待できる | ||
ロックボルト | 個々の浮石や転石を固定するほか、吹き付け、法枠、擁壁、ロープ伏せ工などと併用して、広範囲にわたって安定を図る | ||
アンカー | |||
保護 | 吹き付け | 侵食や風化の進行を防ぎ、表層からの小規模な落石を阻止する | |
法枠 | |||
張工や擁壁 | |||
植生 | |||
落石防護工 |
落石 防止網 |
覆式落石防止網 | 金網と地山の摩擦及び金網の張力で浮石を拘束する |
ポケット式 落石防止網 |
網の上部から入った落石が、金網に衝突することにより落石のエネルギーを吸収する | ||
落石防護柵 | 発生源から保全対象にいたる区間で、落石を捕捉して阻止する | ||
落石防護棚 | |||
落石防護擁壁 | |||
ロックシェッド | |||
落石防護の土堤や溝 |